◆シーリングシステム

当院では、電気メス、レーザーメス、ラジオ波メスを導入して各種の手術を行っています。今回、新たに TESSシーリングシステムを導入致しました。

シーリングシステムとは、組織同士をシールド(組織をパック)させることで血管を含めた組織を凝固させる医療器具です。その部分を切断しても出血はありません。動物病院ではあまり導入されていない医療器具です。

今まで手術の電気メスなどでは、止血しながら切開できるのは1mm程度の血管で、これ以上太い血管だと結紮糸による手技が必要でした。
今回導入したシーリングシステムは、5-6mm程度の血管まで出血なしにシールドできるので、より安全により早く手術をすることができます。

獣医領域では以下のメリットがあると思われます。
(1) 脾臓摘出など腹腔内腫瘍では、時に太い血管が多く縫合糸による結紮が大変なことが多いものですが、この医療器具を用いると手術時間が大幅に短縮できます。
(2) 乳腺腫瘍の手術では、細かい血管が多数あり手術時間がかかりますが、この医療器具を用いると手術後の痛みがかなり少なくなることが何例もの症例で経験しています。(手術時間の短縮もできる)
(3) 縫合糸による拒絶反応による肉芽腫性病変では、患部で縫合糸を用いないで切除することができます。
(4) 口腔内の腫瘍性病変や舌の病変では、かなり激しい出血がおきることがありますが、この医療器具を用いると出血をコントロールして手術ができます。

シーリングシステムのデメリット
(1) 医療器具本体が高価なことですが、それよりも消耗品部分も非常に高価で2-3年おきに交換が必要なこと。