犬猫の診療

予防・対策(フィラリア予防、ノミの対策)

●フィラリア予防と健康チェック(血液検査)

→ノミの対策についてはこちら
◎フィラリア症とは

フィラリアは寄生虫の名前です。英語ではハートワーム。心臓糸状虫(犬糸状虫)を意味します。この虫が蚊の媒介によって心臓に住みつき、様々な障害を起こします。これが犬フィラリア症です。腸の中に寄生する消化管内寄生虫は駆虫薬の投与で虫体が破壊されたり、便とともに体外にでますが、このフィラリアは心臓の中(右心室)に寄生するので駆虫しても体外にだせません。(死んだ虫は肺に迷入します)

心臓の中に成虫が寄生すると血液の流れが悪くなり各種循環器障害を起こします。また、フィラリアの成虫の寿命は5~6年なので感染から5~6年たつと心臓内の成虫は死亡して心臓から肺に移動して各種呼吸器障害(咳、呼吸不全、喀血など)を起こします。
感染してから対応するのではなく、予防を心掛けましょう。

犬フィラリア症は犬から犬に伝播するのではありません。犬フィラリアにかかっている犬の血液を吸った蚊に刺されることから感染していきます。
室内飼育の小型犬でも室内外で蚊に刺される可能性はあります。小型犬では大きい犬と比べて心臓は小さいので数匹寄生しても症状をあらわすので予防を心掛けましょう。
フィラリア症の症状は初期では運動時の咳、中期では安静時の咳、散歩を嫌がる、疲れやすい、貧血、末期では肝不全、腹水などです。

◎フィラリア予防薬は当院では6種類を用意しています

内服では、犬の性格上、飼育上、嗜好性などにより飲ませやすい薬は飼い主により、色々と異なります。よって薬の形態として錠剤、散在、チュアブルの3タイプを、薬の種類として6種類を用意しています。
※チュアブルは味付きの肉片のようなものです。
※犬の性格、種類、大きさ、飼育方法、飼い主のライフスタイル、予防薬の料金などを考慮してどの予防薬がもっとも最適か相談の上で決めさせて頂きます。

    (1)
    モキシデック 錠剤
フィラリア予防作用のみ
フィラリア陽性犬での使用では安全性高い
安全性では一番信頼性高い
【欠点】フィラリア予防効果のみ
    (2)
    カルドメックチュアブル
    味の付いたフードタイプ
味付きなので自分から食べる場合は投薬が楽
フィラリア予防作用+消化管線虫類駆虫効果あり   
【欠点】嗜好性に煩い犬には不適(食が細い犬には不適)、強制投与はできない
    (3)
    ミルベマイシン細粒 
    粉薬
フィラリア予防効果+消化管線虫駆虫効果あり
【欠点】体重に合わせて処方するので成長期の場合は不適
    (4)
    アドバンテージハート
    スポットオン式滴下薬
フィラリア予防効果+ノミ予防駆虫薬
内服の必要なし
【欠点】高価
    (5)
    システック 錠剤
フィラリア予防効果+ノミ予防薬+消化管線虫駆虫効果あり
継続の方のみ使用
【欠点】高価、ノミ駆虫効果なし(予防のみ)
    (6)
    レボリューション
    スポットオン式滴下薬
フィラリア予防効果+ノミ予防駆虫薬+消化管線虫駆虫効果あり
内服の必要なし
【欠点】高価、現在国内では2.5kg以下の犬でしか使用できない(超小型犬でしか使用できない)

※飲ませる前には、血液検査によりフィラリアの有無を検査する必要があります。
(比較的若い犬は血液中のミクロフィラリアの有無を検査、中齢犬の場合はフィラリア成虫抗原検査でフィラリアの有無を検査します)

◎フィラリアの血液検査の際に健康診断として血液一般検査も実施しています

7歳以上のワンちゃんは、フィラリア検査の際にまとめて生化学検査をお勧めしています。
(4月~7月末まで)

健康診断 検査A 
5500円
(検査12項目)
栄養状態(総蛋白、アルブミン)
肝、胆疾患(総ビリルビン、GOT、GPT、ALP)
膵疾患(リパーゼ)
腎疾患(尿素窒素、クレアチニン)
代謝、内分泌(総コレステロール)
糖尿病(グルコース)
フィラリア抗原
健康診断 検査B 
6500円
(検査12項目+血算4項目)
栄養状態(総蛋白、アルブミン)
肝、胆疾患(総ビリルビン、GOT、GPT、ALP)
膵疾患(リパーゼ)
腎疾患(尿素窒素、クレアチニン)
代謝、内分泌(総コレステロール)
糖尿病(グルコース)
フィラリア抗原
血算(白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット)


※フィラリアの血液検査の際に7歳以上の年齢ではついでに血液一般検査も行っています。検査を希望する場合は診察の際に申し出てください。(検査するしないは飼い主の方の判断にお任せしています)
※通常は検査Aをお勧めします。
各種慢性疾患で継続で薬を内服中だったり、何か異常がある場合は検査Bをお勧めします。
※病気になってからではなく、病気にならないようにするために、ある程度の年齢になったら定期的な検査が必要でしょう。
※検査結果データーは必ず飼い主の方にお渡ししています。
請求がなくても必ずお渡ししています。  

◎投薬上の知識

以前は毎日飲ませる予防薬しかありませんでしたが、現在は月に1回飲ませるフィラリア予防薬が一般的です。フィラリア予防薬は飲ませてから1ヶ月の予防ではなく、飲ませてから1ヶ月前にさかのぼっての予防になります。つまり犬が蚊に刺されて犬の体内にフィラリアの幼虫が移行します。それを駆虫して成虫になるのを予防するメカニズムです。その幼虫を駆虫できる期間により月に1回投与になっているわけです。
※予防期間としては、数年前のデーター(統計)では全国平均7ヶ月でした。当院では、7ヶ月間の予防を基本にしています。場合によっては、飼育環境(例えば蚊が多い地域)や飼い主の方の希望も取り入れて8ヶ月以上での予防を実施している場合もあります。

◎フィラリアの発育環

蚊が感染犬の血を吸血→感染幼虫が蚊の体内に入る→蚊の体内で幼虫が発育→蚊が未感染の犬を刺す(感染)→約3ヶ月後にその犬の心臓でフィラリアは成虫になる→成虫は子虫(ミクロフィラリア)を産む、これは血液中にいる→※再び最初から繰りかえす
これがフィラリアの発育環です。

ノミの対策

●ノミとペットの説明

ノミは黒茶色の小さな虫です。一度、犬猫に寄生するとノミは、だいたい17日から26日間生存します。また、ノミは寄生すると吸血を開始し24時間以内に交尾します。そして、交尾をして24時間から36時間後に卵を毎日産みます。卵は犬猫の体から落ちて卵→蛹→ノミになり再び犬猫に寄生する生活環をとっています。
現在、日本では犬猫ともに猫ノミの感染がほとんどでしょう。また、ノミは人間を刺すこともあります。
犬猫がノミの寄生を受けると以下の病気を起こすことがあるので注意をして下さい。

◎ノミアレルギー性皮膚炎とは

主に犬猫の背中を中心にした皮膚炎で非常に痒みがあります。ノミの唾液に対する犬猫のアレルギーと思われます。症状の発現に固体差があります。注意としては体質的にノミアレルギーのある犬猫は1匹のノミの感染でも皮膚炎を起こすことです。

◎条虫症(サナダムシ)とは

犬猫が毛を舐める時にノミを飲み込んでしまい感染します。ノミは瓜実条虫の中間宿主(媒介するもの)です。感染した犬猫のお尻から小さな虫が出ます。検便をしても瓜実条虫は虫卵を排出しないので感染を確認できません。小さな虫は1匹の瓜実条虫ではなく、その虫の体の一部(片節)がちぎれて出てきたものです。

◎猫ひっかき病とは

バルトネラ ヘンセレーという病原体によって起こる病気。猫から猫へノミを介して感染します。猫には症状は出ませんが、感染猫に人が引っかかれたり、噛まれたりするとリンパ節が腫れて発熱や頭痛などを起こす場合があります。

◎犬バベシアとは

バベシア原虫が血液中の赤血球に寄生し貧血、発熱、食欲不振、黄疸を起こし死に至る場合もある病気です。

◎猫ヘモバルトネラとは

猫の赤血球に寄生するヘモバルトネラと言うリケッチャに分類される病原体。貧血、発熱、元気消失などの症状がみられます。咬傷、ノミが媒介する感染症です。

●ノミの予防薬は各種あります

飼育環境、飼育数、動物の性格などにより飼い主の方と相談してどの薬にするか判断します。

◎ノミ取り首輪

ありません。
以前はノミの予防と言えばノミ取り首輪でしたが、現在ではほとんど滴下式の予防薬の使用がほとんどです。

◎フロントラインプラス(滴下式)

背中に液体を滴下してノミ、ダニを予防・駆虫します。従来のフロントラインにノミの卵の孵化防止剤が加わりフロントラシンプラスになり、料金が若干高くなってしまいました。 薬剤を滴下後2日間は全身のシャンプーは(効果が減少するため)禁止になります。ダニにも効果があるのと、夏のダニの感染が多くなっている理由で第一選択のノミ予防薬です。

◎アドバンテージハート(滴下式)

背中に液体を滴下してフィラリア予防とノミを予防・駆虫します。効果は犬猫とも1ヶ月です。従来のアドバンテージに昆虫成長制御剤が加わり、ノミの卵と幼虫の繁殖を抑制する作用も加わりました。ダニには効果なし。フィラリアの薬を内服できないケースで主に使用します。

◎アドバンテージプラス(滴下式)

背中に液体を滴下してノミを予防・駆虫します。効果は犬猫とも1ヶ月です。特に猫ではフロントラインに比べてアドバンテージの方が効果があるように感じます。

◎レボリューション(滴下式)

背中に液体を滴下してノミを予防・駆虫します。効果は犬猫とも1ヶ月です。
2005年度より販売された薬剤です。
猫はフィラリア、ノミ、ミミヒゼンダニ、回虫の予防駆虫効果があります。6週齢以上で使用可。犬は今年は2.5kg未満用しかなし。血液検査にてフィラリアの検査が必要です。
ダニの感染の可能性がある場合などで本剤は有効です。

※どの薬を選択するかは獣医師との相談になります。