小動物の診療

セキセイインコ・文鳥

※セキセイインコ、文鳥以外はなるべく鳥専門病院での診察をお願いします。

●知っておきたいこと

寿命 セキセイインコ7~8年 文鳥7~8年 長いものでは15年以上生きる鳥もいます
分類、原産地 セキセイインコはオウム目、インコ科で原産地はオーストラリア全域。文鳥はスズメ目、カエデチョウ科で原産地はアジア南部の熱帯からジャワの地域です
※セキセイインコは比較的乾燥した地域の原産のためか飲水量は少ないです
性成熟 文鳥5ヶ月 セキセイ6ヶ月
呼吸器 鳥類では胸部と腹部を分ける横隔膜がなく、呼吸は肋間筋と腹筋の作用により気嚢を拡張させることで行なう。肺は小さく胸部の背側に固定されてガス交換のみを行なう
※よって、呼吸困難な鳥の保定では注意する
消化器 鳥の胃は、そ嚢→腺胃→筋胃の3部位に分かれている 
※食べたものはそ嚢に貯蔵される
排泄 尿と便は同じ場所(総排泄腔)から排泄される  
※通常、哺乳類では尿は腎臓→尿管→膀胱→尿道と行くが鳥では腎臓→尿管→総排泄腔となっている
卵巣、卵管 ほとんど全ての鳥では左の卵巣、卵管だけが発達している
体温 鳥の体温は40.0~44.5℃(平均41.6℃)と非常に高いです。よって細菌が増殖しにくく化膿が起きにくい生き物です
文鳥の雄雌判断 雄はさえずりの行動をする 雌は尾を左右に振る行動をする(体の特徴での判断は難しい)
セキセイの雄雌判断 雄はロウ膜が青、ピンク、うす紫。雌は非発情期は白、発情期は茶
孵化日数 文鳥16~17日、セキセイ20~23日
産卵 文鳥4~8個 セキセイ5~6個
そ嚢ミルク 子を養育している鳥では、そ嚢(胃の一部)の粘膜上皮細胞が膨張して破裂し、そ嚢ミルクなる栄養分を作りこれを逆流させて子鳥に与える
※哺乳類のミルクとはだいぶ違います
体重 文鳥25gくらい、セキセイ35gくらい

●飼育上の一般的な注意点

セキセイインコ◎セキセイ・文鳥には口移しで食べ物を与えたりしないようにしましょう。なぜなら人畜感染症としてオウム病があるからです。

◎セキセイ・文鳥にはなるべく外用薬を使用しないようにしましょう。外用薬で毛抜症が起きたり、点眼液でも眼瞼の皮膚が脆くすぐに眼瞼炎が起きやすいからです。外用薬は獣医師の判断が必要になります。

◎セキセイ・文鳥にご飯、そば、パンを与え続けると、慢性嘔吐や慢性下痢になることがあります。なるべく与えないようにしましょう。

●セキセイインコ・文鳥に多い病気

◎栄養不良

あわだま(雛用の餌)だけの飼育を続けると栄養不良になります。雛もそれだけでは栄養が足りません。 雛では、あわだまに卵黄などを混ぜ調合した食事差し餌するのが理想。
成鳥では殻付き混合餌(ヒエ、アワ、キビ、カナリアシード)を与え、その他青菜、ボレー、塩土(週1日程度)が理想。

◎カイセン症

嘴や脚に白く粉を吹いたような皮膚病変がおこる。トリヒゼンダニの寄生による。

◎眼瞼炎、結膜炎

セキセイ・文鳥の眼瞼皮膚は非常にうすく、数回擦っただけで発赤腫脹します。  
※点眼薬の使用は慎重に

◎外耳炎

耳のあたりを木にこすったり、引っ掻く。
鳥の耳は耳翼がなく目の近くの斜め下方に位置します。羽を分けてよく観察します。

◎皮膚病

セキセイ・文鳥では皮膚真菌症があります。
水遊びは皮膚病の予防になるので毎日、水は交換しましょう。
※水遊びが好きな文鳥ではセキセイよりも発症は少ないです  
※外用薬の使用は慎重に(自咬症の原因になってしまう事があります)

◎膿瘍

眼の周囲が多い。原因は副鼻腔炎が原因と思われる。

◎脚へのヒモ、糸の絡まり

すぐに除去しないと先端が血行障害から腫脹して除去しにくくなります。

◎脚の骨折

いろいろな原因で脚が骨折します。鳥の脚は筋肉が少なく外見だけで骨折が分かり飼い主は連れてきます。治療としては骨折部位を外固定します。 
※患部を気にしますので数日おきに来院する必要があります

◎やけど、裂傷

熱い鍋に飛び込んだり、熱い飲み物に当たったり、驚いて籠の中でぶつかったりするのが原因。
また、猫による裂傷もあります。猫との共存の場合はなるべく注意して飼育して下さい。

◎嘴の変形

炎症や栄養不良、遺伝的な素因が原因。

◎爪の損傷

なかなか出血は止まりにくいです。

◎肢瘤症

ブドウ球菌が原因のことが多い。

◎痛風

痛風は尿酸結石や尿酸塩が組織に沈着する疾患です。脚に結節ができたりして来院する場合が多いです。

◎肥満過多

内臓脂肪が多くなると全身症状。主にセキセイインコに多発。

◎体表の腫瘍

自分で自咬して出血を繰り返して貧血してしまう事が多い。
※小さければ手術ではなく、腫瘍の栄養を遮断して腫瘍を縮小できる場合もあります。

◎自咬症(または毛びき症)

手乗りに育てられたセキセイインコなどが自分で羽毛をむしり取り皮膚がむきだしになってしまうこと。
原因はノイローゼだと言われているが、栄養の偏りの可能性もある。脂肪分の多いナタネ、アサの実を取り除いてみるのも良い。
※外用薬の使用は慎重に(毛びき症の誘因になる)

◎鳥クラミジア症

主な症状は呼吸器症状ですが、食欲低下、元気消失、下痢を起こす場合もあります。

◎嘔吐

嘔吐する時は頭を縦に振って嘔吐します。頭の上が汚れている場合は嘔吐があった可能性があります。嘔吐の原因はいろいろあります。

◎発情吐出

セキセイインコの雄は時として餌を吐き戻す行動をします。これは発情吐出と言う求愛行動で病気ではありません。
発情吐出・嘔吐との鑑別は吐いた餌を撒き散らかすかどうかで判断します。 

◎細菌性腸炎

飲み水の交換を怠ったり(飼育上)、パン、ご飯、そば、うどんを与えたりするのが原因のようです。

◎消化管内真菌症

糞便中にカンジダが見られるケースがあります。

◎そ嚢炎

胃の一部のそ嚢の炎症。人間が食べるものを与え続けるとそ嚢内に炎症が起きます。

◎トリコモナス症

寄生虫です。原虫類なので直接、肉眼で見えません。口内、そ嚢内に寄生。

◎メガバクテリア症

嘔吐が持続します。経過が長いと重度胃炎や胃拡張を起こし慢性的な嘔吐が続く場合があります。