犬猫の診療

院内検査(院内でできる各種血液検査)

●5種類の機械による血液検査が可能です(血球・生化学+電解質・炎症・血ガス・凝固)

1)血球検査

赤血球数、白血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値などを検査します。
貧血と白血球(細菌感染による炎症)をチェックする検査です。
※激しい細菌感染では、通常、白血球数は増加します。
※子宮蓄膿症などの細菌性疾患の一部では、激しい感染があっても造られる白血球よりもその部位で使われる白血球が多い場合、(採血される血管中の血液の)血液検査で白血球数は(見た目上)正常値を示す場合が結構あります。
※免疫不全などでは、白血球数は減少する場合もあります。

2)生化学検査

酵素(GGT GOT GPT CPK LHD ALP AMYL)
一般化学(GLU BUN CRE UA TCHO HDL-CHO TG TBIL Ca TP ALB NH3 )
電解質(Na K Cl)が検査できます。
※この機械は新しいタイプで同時に5検体、13項目同時検査可能です(旧式富士ドライは1検体、6項目まで)。
※検査スピードが旧式より2倍速いです。

3)犬CRP検査

CRPとは、C反応性タンパクという急性相タンパクの一種のことです。炎症や組織破壊がおこると、6時間頃より急激に増加し、24時間くらいで最高値になります。それを検査して体にどの程度の炎症が起きているか判断します。
※白血球より炎症での感度、信頼性は高いです。
※ヒトでは、肺炎や悪性疾患など炎症がある場合に炎症の程度と治療効果の判定のため検査します。
※悪性腫瘍がある場合に、二次的に体に炎症が起きるとCRPは上昇します。リンパ腫など抗がん剤療法を行い免疫寛解(がん細胞をうまく抑えている)かどうか?CRPで判断します。
※CRPは種特異性があり、現在、猫のCRPは院内でできる検査器具はありません。

4)血液ガス検査

犬猫が重症で運ばれてきた場合、静脈点滴を実施します。その場合に体がどの程度酸性(アシドーシス)なのか?その程度アルカリ性(アルカローシス)なのか? 酸塩基平衡を見極める検査です。
重症の動物の血液の血液PH、血液BE(base excess=酸塩基平衡の正常値からの偏位)を検査することによって、どのような点滴が最適なのか? 点滴中の酸塩基度を調整し一番最適な輸液を実施します(重症例では最初の輸液は重要です)。
※重症の場合のみ検査実施します。
※犬猫での重症例の場合は、ほとんどが代謝性アシドーシスなので重曹(炭酸水素ナトリウム)の投与する量をBEと電解質(Na K Cl)から計算し点滴液を調節し体に適した点滴をします。
※血液PHと血液BE以外に血糖値、肝不全の有無、血液電解質(特にカリウム)の数値によっても輸液の調節は違ってきます。
※ヒトでは、通常は動脈血から採血して検査を実施しますが、犬猫では動脈からの採血だと動物側にある程度の負担をかけるので静脈血から実施する方法が一部提唱されています(当院でも通常の採血である静脈血からの方法で実施しています)。

5)血液凝固検査

全ての手術の際に、ちゃんと出血が止まるのかどうか(血液凝固能に異常がないか)の検査を実施しています。

〈凝固検査項目〉

  • PT(プロトロンビン時間:prothorombin time)
    血液が固まる(凝固)するには、血管内(内因系)と血管外(外因系)の凝固因子がともに作用します。このうちの血管外の組織中の凝固因子の異常を検出するのがプロトロンビン時間です。異常があると凝固時間は延長します。
  • APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間:activated partial thromboplastin time)
    血液が固まる(凝固)するのは、血管内(内因系)と血管外(外因系)の凝固因子がともに作用します。このうちの血管内の組織中の凝固因子の異常を検出するのが活性化部分トロンボプラスチン時間です。異常があると凝固時間は延長します。
  • 延長疾患:プロトロンビン欠乏症、肝障害、ビタミンK欠乏症、DIC、第Ⅴ因子欠乏症、第Ⅶ因子欠乏症、第Ⅷ因子欠乏症(血友病A)、第Ⅹ因子欠乏症、第ⅠⅩ因子欠乏症(血友病B)、von willebrand病などで凝固時間は延長します。
  • 今まではACT血液凝固検査を行っていましたが、専用血液凝固用試験管の販売が中止したので、血液凝固検査器具を導入しました。
    ※凝固不全の発生は少ないですが、ヒトでは必ずと言っていいほど、手術の前に凝固検査を実施するようです
  • 血液凝固検査は、導入している病院は少ないのが現状ですが、今後、獣医療の分野でも、より安全に手術を行う上でより重要になるでしょう。